2015年9月28日月曜日

アルツハイマー病の病態生理から治療戦略を考える


アルツハイマー病の病態生理から治療戦略を考える

病態生理

 アルツハイマー病では、アミロイドβ前駆タンパク質(Amyloid beta precursor protein)がβおよびγセクレターゼにより切断され、アミロイドβ蛋白(Aβ)となる。そしてAβが凝集しβシート構造となり間質に沈着する(1)。
この際に沈着したAβが老人斑であり、神経原性変化と並んでアルツハイマー病の病理に特徴的である。
Aβが凝集した凝集体のうち比較的分子量の小さいものをオリゴマー、高分子量のものをプロトフィブリルとよぶ。プロトフィブリルは神経毒性を持っており、アルツハイマー病発症に寄与しているのではないかと考えられている。

治療戦略

  • 凝集体を作らせない 
  • Aβの代謝スピードをあげる 
  • プロトフィブリルの神経毒性をおさえる、
BAN2401は③プロトフィブリルの神経毒性を抑えるために開発されたプロトフィブリルに対する抗体である。

 

BAN2401のこれまでの研究

 プロトフィブリルに対する抗体療法は、スウェーデンの家族性アルツハイマー病患者から調整されたプロトフィブリルを抗原にして作成された抗Aβプロトフィブリル抗体mAb158(マウス抗体)からの創薬が進められた。
 In vivoでArcticとSwedishに変異があるトランスジェニックマウス(このマウスではプロトフィブリル濃度が上昇している)にmAb158(12mg/kg)を4ヶ月間週一回腹腔内注射することにより脳内のプロトフィブリルの減少することが示された(2)。
 このマウス抗体をヒト化したものがBAN2401である。
 

【参考文献】
1) Shin Araki. Folia Pharmacol.Jpn. 136: 21-25, 2010
2) Lord Anna, et al. Neurobio of Dis. 36: 425-34, 2009

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